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保育士が児童虐待から子どもを守るためにできることを【ルポ 児童相談所】から考える

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痛ましい子どもに対する虐待事件が続くと気分が滅入ってしまう人も多いのではないでしょうか?

保育士としては絶対にスルーしちゃいけない問題だと思います。

保育園に通う全ての子どもにその危険性は潜んでいると言っても過言ではありません。

 

保育する0歳から就学前までの子どもたちは、もっとも虐待の被害者になりやすい年齢の子どもたちです。

虐待の被害にあった子どもたちの6割は就学前という統計がでています。

平成28年度 児童虐待相談の状況について (市町村受付)

 

【ルポ 児童相談所】を読んで、保育士としてどうすればいいのか?、児童虐待対策における保育園のあり方について考えてみました。

 

この記事ではこんなことを知ることができます。

  • 児童虐待の種類や現状
  • 保育園が担う大切な役割
  • 園全体でサポートする方法
  • 虐待を発見するポイント、接し方
  • 虐待かもしれない時の対処法

 

児童虐待への関心が高く、子どもたちを守りたいと思っている方の参考になればと思います。

虐待種類 定義と現状

「児童虐待の定義なんて知ってるよ。」

もちろん学習しているのは当たり前なのですが、その知識古くないですか?

よほどの興味関心がない限り、最新の情報を調べてまで手に入れようとする方はなかなかいないように感じます。

  • 日々の業務が忙しすぎ
  • うちには虐待にあっている子がいない

理由は様々だと思いますが…子どもがいる所に虐待の影ありです。

ここでもう一回復習しておきましょう。

現状

虐待相談対応件数(オレンジリボンHP)

 

グラフを見ると一目瞭然ですね。年々数値は上がるばかり。

  • 児童虐待に興味関心が集まり始めた
  • 相談窓口が整備され始めた

色々な理由があったとしても、12万件以上の子どもたちが虐待の被害に晒されている。

この事実は目を背けてはいけませんよね。

定義

保育士として最低限、児童虐待の種類は4つに分類は知っておきたいところ。

こちらは厚生労働省HPに掲載されている表です。

児童虐待の定義と現状

保育園が担う大切な役割は子どもの安否確認

「今日も保育園に元気に登園してくれてありがとう。」

保育園が児童虐待に対して大きく貢献できることは子どもの安否確認が毎日できることです。

 

実は、児童相談所に児童虐待に通告が入ると、職員は48時間以内に子どもの安全を目視で確認するようになっています。(埼玉ルールって言うんだよ!)

厚生労働省もそうであることが望ましいと発表していて、H19年の情報ですから、もうすでに全国で行われているはず。24時間以内に設定している児相もあります。

安全確認は、児童相談所職員又は児童相談所が依頼した者により、子どもを直接目視することにより行うことを基本とし、他の関係機関によって把握されている状況等を勘案し緊急性に乏しいと判断されるケースを除き、通告受理後、各自治体ごとに定めた所定時間内に実施することとする。当該所定時間は、各自治体ごとに、地域の実情に応じて設定することとするが、迅速な対応を確保する観点から、「48時間以内とする」ことが望ましい

児童相談所における安全確認を行う際の 「時間ルール」の設定状況について

 

それが保育園では休日をのぞいて、12〜24時間以内に子どもの安全・状態を確認できます。

子どもを児童虐待から守るために重要な役割を果たしていると思いませんか?

 

私も「保育園に登園することがその子にとって安心、安全を守る手段である」を念頭に置いて保育しています。

園全体でサポートしていく(新人保育士さんは要チェック!)

虐待が疑わしい、もしくはそれに近い状態にある子どもたちがいた場合どうしたらいいのでしょう?

絶対にやめてほしいことは一人で抱え込むこと。これは園全体で取り組む問題です。

 

特に保育士になりたての方は「こんなこと相談していいのかな?」「私の勘違いかも?」「忙しそうで話しかけれない。」と自分の判断で止めてしまうこともあります。

これは非常に危険な行為だと思ってください。

「なぜ、もっと早く言わなかったの!!」という事態を招く前に必ず同僚、先輩、上司に相談しましょう。

 

「じゃあどうしたらいいの?」というお話。

4つのステップを踏みましょう。

  1. 記録
  2. 報告
  3. 子どもの話を聞く
  4. 保護者対応

1 記録をとる

上司や先輩に相談するとき、あなたの曖昧な記憶だけで話すのはNG。

ポイントは、5W1H。

  1. いつ
  2. どこで
  3. 誰が
  4. 何を
  5. なぜ
  6. どのように(状態や状況)

記録に残し、わかる範囲のことを記録に残しましょう。

 

その記録とともに上司に相談します。

ただ、緊急性が高い(不自然な痣など)時は即報告しましょう。

必要に応じて記録だけでなく、写真等の証拠が必要になることもあります

2  報告する

普段からどんな些細なことでも報告する癖をつけましょう。

本当は部下が言いやすい職場づくりを上司がしていくものですが、そうじゃないことだってあります。

 

記録を元に時系列にそって5W1Hで報告できると相手もわかりやすいです。

 

上司に「心配ない」とか「考えすぎ」と言われることもあるかもしれません。

 

決して失敗ではありません。あなたは保育者として当たり前のことをしています。

あなたの問題意識の高さと観察力は素晴らしいことなので引き続き、子どもたちのことをよく見てあげてくださいね。

3  子どもの話を聞く

一歩間違えると信頼関係を崩してしまいかねませんので、慎重に行います。

4ステップで話を聞くよりも報告を先にしたのはそのためです。

 

あなたが自信がなかったり、どうしていいかわからなければ上司に同席してもらいましょう。

決して「ママ(パパ)がやったの?」とか「叩かれたの?」とか誘導尋問にならないように気をつけましょう。

4  保護者対応

ベテラン保育士であれば、一人で行うこともあるかもしれません。できれば上司と行うのがベターでしょう。

 

保護者との信頼関係を崩すような対応をすると、子どもや今度の関係に大きく影響してしてしまいます。

 

子どもと保護者を園全体でサポートしていくためには、保育士の異変に気づく力も大切です。

家庭というブラックボックスに誰よりも近い保育士だからできることとも言えるでしょう。

子どもの状態や変化から虐待に気づく

パッと見ではわからないことも毎日見ていることで気づけるようになります。

そのためには「どんな状態だと虐待と疑うのか?」と知識をつけておく必要があります

乳児(1歳児未満)

  • 不自然な打撲によるあざや火傷などがよくみられる
  • 特別な病気もないのに身長や体重の増加が悪い、次第に低下している
  • 表情や反応が乏しい。言葉がけやあやしに無表情。
  • 抱かれると異常に離れたがらなかったり、おびえた様子が見られる
  • お尻がただれている、身体、衣類が極端に汚れたままで登園する
  • 母子健康手帳の記入が極端に少ない

幼児(1歳から就学前)

  • 原因不明の不自然なあざが多く見られ、手当も十分に施されていない
  • おびえた泣き方をしたり、かんしゃくが激しい
  • 保護者の迎えが来ても降園したがらない
  • 保育士を試したり、独占しようとまとわりつく
  • 転んだり、けがをしても泣かない、助けを求めない
  • おやつや給食にがっつく。異常なくらいおかわりする
  • 身体、衣類が極端に汚れたままで登園することがよくある
  • 予防接種や健診を受けていない
  • 理由がはっきりしない、または連絡のない欠席や遅刻が多い
  • ささいなことできれる。他の子への乱暴な言動がある
  • 小動物に残虐な行為をする
  • いつもおどおどしていて、頭をなでるなどのスキンシップをとろうとすると身構える
  • 親の前でおびえている
  • 年齢不相応な性的な言葉や性的な行動がみられる

 

これが継続的かつ頻度が高いほど、要注意です。

保護者も苦しみ、もがいているかもしれない

虐待の恐れがある=ひどい親という偏見の目で見ることをやめましょう。

 

誰しも虐待の目は心の中に潜んでいると思います。

  • 子どもが育てにくい子である
  • 保護者に相談相手がいない
  • 保護者に余裕がない
  • 保護者の健康状態が悪い

そんなちょっとしたきっかけが積み重なっていくことで、魔が差してしまうこともあります。(全ての事件がそうだと言っている訳ではありません)

 

「保護者にどんな声かけや援助が必要なのか?」を考えがら、日々コミュニケーションをとっていきたいですよね。

子育てを通して、信頼関係を築いていくことも大切です。何かあったときに耳も貸してくれないようでは困ります。

 

「先生、実はこんなことで困ってるの。」

「仕事でちょっと疲れてるんだ。」

保護者からのSOSがいつでもキャッチできるようにアンテナを立てておきましょう。

 

そのためには保護者が話しかけやすいような雰囲気づくりも心がけたいですね。

虐待の疑いがあっても通告に抵抗感がある、判断に自信がないときは?

こちらは全国保育協議会で児童虐待防止に向けた資料です。全国保育協議会HP

子どもの様子がおかしい と思ったら…

本来であれば園長先生や主任の先生が然るべき場所へ連絡をとってくれます。

虐待かの判断は児童相談所の職員がチームになって判断します、よって、私たちに求められるのは判断ではなく、情報の提供です、

ですが、保護者との関係悪化や保身のために行動しない園があるのも事実です。

保護者の不利益より、子どもの利益を考えて

ルポ 児童相談所の第4章 地域全体で子どもを守るという中にある”お母さんの不利益にならないか”では情報提供を渋る園長先生について書かれています。

「これを出すとお母さんの不利益にならないかと思って…」

園長はしぶしぶ、1年ほど前に撮ったという数枚の写真を取り出した。

それを見て、高橋は驚いた。「これって…」

そこには、同じ保育園に通っている男の子の弟が写っていた。額には、不自然なやけどのような痕があった。また、男の子が頬を青く腫らした写真もあった。いずれも虐待が疑われるものだった。

また、親の反発を怖がる園もあります。

「親にあざの写真を見せられては困ります。保育園が撮ったことがわかるのは困るのです。」

親から虐待を受けた疑いがあるとして、児童相談所が職権で一時保護した保育園児を巡って、保育園の園長が繰り返し、児童相談所に要請してきた。担当ワーカーは電話口で園長に懇願され続けていた。

 

保護者の不利益や反発を考慮したくなる気持ちも十分にわかりますが、子どもの最善の利益はどこへいいてしまうのでしょうか?

一番身近にいる私たちが見て見ぬ振りをすれば、子どもたちはずっと暗闇の中に恐怖に耐え続けるはめになります。そして、人生において長く苦しみ、今度は加害者になる可能性も十分にありえます。

もしかしたら、死を選択してしまうかもしれませんよ?

 

あなたがもしそんな立場に立たされた時は迷わず電話してください。

虐待に関する書籍・漫画

児童虐待について書かれている書籍・漫画はたくさんあります。

おすすめ漫画

  • 凍りついた瞳
  • 続 凍りついた瞳
  • 新 凍りついた瞳
  • ちいさいひと
  • 児童福祉司 一貫田逸子 シリーズ
  • 愛ときずな
  • きみとうたった愛のうた

児童虐待を取り巻く専門職たちを知ることができる漫画【凍りついた瞳】。子どもを守るためにできることは?

【続 凍りついた瞳】保育士が児童虐待に気づける観察ポイント。専門職としてできることは?

おすすめ書籍

今回は、大久保真紀さんの著書である【ルポ 児童相談所】を参考にさせてもらいました。

 

杉山春さんも児童虐待について書籍を数冊出しています。

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