【子ども理解からはじめる感覚統合遊び 保育者と作業療法士のコラボレーション】
を読んで日々実践中です。
クラスで気になる子にどうしたらいいかな?でも、みんなで楽しめるものがいいよね。
と考えていた時に出会った一冊です。
保育者と作業療法士がコラボレーションしているというところも魅力的で、購入しました。
子どもを中心に。子どもを理解することで、支援の方向性を決めていこう!という本です。
保育士に『子ども理解からはじめる 感覚統合遊び』をおすすめする理由
ポイント1:イラストや写真が豊富
専門書ってどれも活字ばかりで、文字が小さいというイメージ。
ですが、この本は上記の写真のようにイラストがたくさん使われています。子どものタイプやトラブルが実際に自分のクラスの子とリンクして、理解しやすかったです。
遊びの紹介では、実際に子どもたちがやっている様子が写真で乗っています。自分のクラスで実践するときの参考になりました。
ポイント2:10のタイプ別に分かれている
本書では、感覚統合のトラブルを「タイプ」にわけて説明しています。P.29
自分のクラスの気になる子が一つだけ当てはまる場合もあれば、複合していることもあるそうです。
○子どもの10のタイプ(P.28~29)
- マイペースなぼんやりタイプ
- 刺激を欲するガンガンタイプ
- 不安になりやすいビクビクタイプ
- ストレスがたまりやすいイライラタイプ
- 違いに気づきにくいわかんないタイプ
- 姿勢を保てないぐにゃぐにゃタイプ
- 身体の動気がおぼつかないギコチナイタイプ
- 手先が不器用なブキッチョタイプ
- 両手動作が不器用な両手ブキッチョタイプ
- 動きを目で追えないどこいったタイプ
一つのタイプの中にも子どもの様子が詳しく書かれているので、クラスの子どもを当てはめてみるとさらに詳しく分析することができます。
(例)(P.34~35)
○感覚の調整に関するトラブル
1:マイペースなぼんやりタイプ
- 眠そうな顔で登園する
- 手や顔が汚れても気にしない
- 先生の呼びかけに気づかない
- 活動に参加せず、一人でボーッとしている
他にも各感覚でよく見られる姿や支援の方向性が示されています。
ポイント3:遊び方、ねらい、留意点が明記されている
子ども理解がまず最初。子どもを理解した上で遊びをしてくので、そこには根拠があります。
一つの遊びにこんなにも盛り沢山の内容が!!
- タイプ別で表示
- どの困り感かを明記
- ルール
- アレンジ
- ねらい
- 留意点
- 作業療法士の視点
ねらいも定まっているので、遊びの意図をきちんと理解した上で取り組めるのが嬉しいです。
活字が苦手な人でも大丈夫!
薄い本だというのも魅力の一つ。
- 活字が苦手
- 読む時間があまりとれない
- 難しい内容の本は嫌
という方にもおすすめです。
保育者と作業療法士とのコラボレーション
作業療法士は「個の遊び」や「活動の分析」を得意とし、保育者は「集団の遊び」や「活動の演出」を得意としています。 P.130
この一文は作業療法士と保育者の強みがとてもわかりやすく記載されているなぁ。と感じました。
これは余談ですが、私の大好きな言葉でもある”他職種連携”の一つの形だと思います。なので、尚更この書籍を皆さんにおすすめしたくなりました。笑
作業療法士とは?
作業療法士さんは、日常生活を送る上で必要な機能回復をサポートするプロです。
保育者と作業療法士のそれぞれの強みを子どものために活かしているというところが素敵ですよね。
保育士が知りたい感覚統合とは?
米国の作業療法士エアーズ博士は、人間の発達や行動を、脳における感覚情報の統合であるという視点から捉えて感覚統合理論をつくりました。(P.6~7)
保育士でも感覚統合遊びは簡単にできる?
マットやトンネルなど大きなものが必要な遊びもありますが、新聞屋段ボール、タンバリンなど身近なものでも感覚統合遊びは可能です。子どもの姿をじっくり観察、分析して、その子にあった感覚統合遊びを提供したいですね。
保育士が知りたい感覚統合の遊びやゲームの種類
どろんこ遊びのように戸外で遊ぶことから、しっぽ取りのとうなゲームまで遊びが多彩に紹介されています。
室内遊び
- 新聞紙遊び
- マット遊び
- 寝返り
- 物を運ぶ
- 段ボールを押す
- 粘土
- 触れ合い遊び など
0歳児からできるふれあい遊びや幼児向けの遊びまで幅広い年齢が楽しめる遊びが紹介されています。10
感覚統合にグッズは必要か?
感覚統合にグッズは必要か?と言えば、必要かもしれません。
ただ、マットやトンネルなどは高価なものも多く、すぐに手に入らないこともあります。
この本では、大きなグッズ(マットやトンネルなど)を使う遊びから、子どもたちが自然と触れている泥や新聞紙遊び、段ボールなど手に入れやすいものも遊びとして紹介されています。
保育士から見た感覚統合が必要な子は?
10のタイプに分けられ、タイプごとに子どもの様子が紹介されています。
「この子気になるんだけど、何がどう気になるのか説明できない」という場合でも、きっとその子に近い姿が探せると思います。
(例)
- 給食の時間に何度直しても姿勢が保持できない
- 身体を触るとぶよぶよ
- よくこけるけど、手が出ない
→姿勢が保てないぐにゃぐにゃタイプ
ADHDなどの発達障害
発達障害があるから、感覚統合をするのではありません。
その子に感覚のトラブルがあるから、感覚統合遊びを用いて、感覚と統合していきます。
まとめ
実際に利用してみてわかることは‥”わかりやすいからといって、全部内容が頭に入ってくるわけではない。”ということ。
「ここ知りたい。」「どうすればいいんだ?」と思うたびに開く感覚統合遊びのバイブル的存在です。
私自身、「この子は本当にこのタイプかな?」と迷うこともあります。ですが、遊びという視点だけでも子どもだけじゃなく、保育者まで楽しめるので、日々挑戦しています。
感覚統合に興味のある方、記事を読んで気になった方はぜひ書店で手にとっていただけたらなぁ。と思います。