「トイレトレーニングって難しい。」って思っていませんか?
成長に大きく個人差があるし、子どもの個性もある、時期も大切。スタートする時期は、みんなバラバラで「○歳から」などの目安しかありません。
実際に現場では思い通りには100%行かない。おまけに複数担任でトイレトレーニングへの考え方も違う。
「この子はトイレにどうやって誘えばいいの?」「誘っても断られすぎてもう嫌になって来た…」「2歳の夏じゃないとダメなの?」そんな悩みも尽きないのがトイレトレーニングですよね。
「誰かトイレトレーニングについて教えてよ!」私も初めての頃はそう感じてました。
(今でも「この子はどうやって誘ったらいいの?」はあります…。)
今回はトイレトレーニングのいろはについて書きました。
- トイレトレーニングっていつから始めるの?
- 2歳児に取れないとダメ?
- トイレトレーニングにねらいや環境設定ってあるの?
初めてトイレトレーニングがあるクラスを受け持った方や子どものトイトレあるある、先輩からのプレッシャーに振り回されて疲れている保育士さんにぜひ参考にしていただければと思います。
トイトレはいつから? ポイントは3つのサイン
トイトレを検討し始める3つのサインサインその1:ひとりで歩ける
サインその2:言葉の理解があって、少しおしゃべりできる
サインその3:おしっこの間隔が一定時間あいている
一般的にこの3つのサインが出る頃に始めるとよいと言われています。
子どもの発達には個人差がありますが、月齢で示すとこんな感じ↓
月齢 | サイン |
10ヵ月〜1歳 | 一人で歩ける |
1歳半〜2歳 | 言葉の理解があって、少しおしゃべりできる |
1歳児後半〜2歳児後半 | おしっこの間隔が一定時間空いている、オムツの数が減る |
3つの条件が揃って「本格的にスタートをきれそうかな?」と思うのはおおよそ2歳児です。
多くの園が2歳児で本格的なトイレトレーニングに取り組むのは理にかなっていますね。
ポイント
保育の現場で目安になると言えば…オムツの数。
3~5個くらいあったオムツの量が1~2個まで減ると「そろそろかな…」と思います。
トレーニングは2歳児の夏がいいの?冬では遅いのか?
2歳児の夏といえば、トイレトレーニング!!というイメージが強い方もいるのではないでしょうか?
実は、私もそう思っていました。
夏がよいといわれる理由は…トレパンもズボンもたくさん汚れるけど、洗濯が乾きやすい、汗をかきやすい時期なので排尿間隔があきやすいから。
保育士と保護者(おとな)にとって、夏がやりやすいというだけ。
プールで慌ただしかったり、体が冷えたりするので逆に大変な部分もあります。
ポイント
冬は寒くて、体調も崩しやすいのでトイトレには不向きに見えます。
でも、実は冬のトイトレにもメリットがあります。
例えば…子どもと保育士に十分な信頼関係が育まれていたり、子どもたちも成長しています。
夏場のように保育がバタバタすることもなく、保育にゆとりが生まれるので個々にじっくり向き合ってあげれる。
考えてみると夏も冬もそれぞれにメリット・デメリットがあります。
なので、子どもの発達に合わせて「年中トレーニングウェルカム!!」の姿勢が子どもにとっても保育士自然体でいられますね。
保育のトイレトレーニング ねらいとは?
- トイレットペーパーの使い方
- トイレになれる
トイレトレーニングにもしっかりとねらいがあります。
トイレトレーニングは日々の保育から始まる
「今日からここに座っておしっこするの!」と言われても、トイレでおしっこできる子はまずいません。泣いたり、嫌がったりするはずです。
そうならないためにも、0歳児から保育での積み重ねが大切です。
0歳児〜1歳児低月齢(準備期):オムツ交換で清潔になる心地よさを知る
0歳児は、同じ場所でオムツを交換してもらうことになれるがスタートになります。
初めての園生活で「ここで僕は何をされるんだ!!」となってしまいますよね。
同じ場所で毎回オムツを交換してもらう。大好きな先生とここに来たら、なんか綺麗にしてもらえて心地よくなれる。
心地よさを感じられるようになるところはトイレだ。と子どもたちの中に根付いていくことが大切です。
また、オムツが濡れて不快な状態から快の状態へ。愛着形成や基本的信頼感へも大きく影響します。
子どもと1対1のゆったりとした環境でわらべ歌でも口ずさみながら、語りかけるといいですね。
歩行が安定したら、便座に座ってみる
歩きが安定する頃に入ると、オムツ交換の時にオムツが汚れていなかったりします。
長い子だと午睡中もつ子もでてきますよね。オムツが汚れていないタイミングで便座に座るように促していきましょう。
便器で排泄できることよりも、“便座に座る習慣(慣れる)をつけること”がねらいです。
便座に座ることができた時は、座れたことを認めてあげてくださいね。
繰り返し、座れることを認めていくと自分から便座に座るようになります。
こちらが忘れていると指をさして「座る」とアピールしてくれる子もいますよ。
座れない日はもちろんあります!それでOK。「また今度座ってみようね~」程度で流しておきましょう。
私の失敗エピソードをお話しますね。
ゆきの失敗エピソード 自分からがきっとくる
「トイレに座ってね」と一歳児に伝えて座らせるようにすると、始めはすんなり座ったAくん。
「意外と簡単に座ってくれるじゃん」と思っていたら、数日すると大泣き。状況がのみこめていないだけでした。
しばらくは便座を見るだけで泣いてしまう日々が続きました。他の子が座っているのには、興味がある様子。
繰り返し「座ってるね~」なんて話をしているうちに自分からとことこ歩いて座れるようになりました。
座っている子がいれば「○○ちゃん、トイレに座っているね」「しーし、してるね」などの言葉がけで興味誘ってもいいかもしれませんね。
おしっこがでたら、一緒に喜ぶことが自信につながる
たまにタイミングがあって、便座でおしっこがでることもあります。
その時は、大げさに喜びましょう。「しーし、でたね。」おしっこが出たことを見逃さず、伝えてあげましょう。
繰り返し伝えていくと…おしっこの出る間隔が子どもの中で理解できるようになっていきます。子どもから「しーし、でた」と教えてくれるようにもなります。
座っているのは1~2分程度にする
おしっこがでなければ座っているのは1~2分にしましょう。出るまで座らせるのはNG。
トイレ嫌いになる可能性もあります。潔く諦めて「また行こうね」と切り上げましょう。
1歳児高月齢〜2歳児
なんでも保育者がやっていた頃とは違い、行動も言葉も発達する1歳児高月齢から2歳児。
少しずつ身体の中も機能が整ってきます。
おしっこを溜めれるようになる
早いこだと2歳に近づくにつれ、膀胱におしっこが溜められるようになって来ます。便座に座ってタイミングが合えば「じゃー!」と音でわかるくらいです。
言葉で伝えられる子も出て来で「しーしでた」と教えてくれます。
おしっこがでたという感覚と言葉を結びつける時期でもあります。
おもらしは成功への近道
おもらしは漏れるという感覚を経験しています。
「もらした!」「なんでもらすの!」なんて大きな声で騒がずに優しく素早く対応していきましょう。
完全にパンツになったと思う幼児さんだって遊びに夢中になったり、ギリギリまで我慢したり、体調やストレスで漏れてしまうことがあります。
2歳児のおもらしは当たり前。過敏にならずに見守ることも大切です。
ポイント
2歳児になると”恥ずかしい”という気持ちも芽生えてくるので、片付けはスピード重視です。恥ずかしいが勝ってしまい「オムツにしたい。」とオムツに戻ってしまう子や自信が磨り減ってしまいます。
手洗い・着脱も習慣にする
トイレでの行為は、排泄だけではありません。
パンツやズボンの着脱、手洗いや手の拭き方も一緒に伝えていきましょう。
手洗い場や手拭きタオルの導線を考えて、子どもが主体的に動ける環境を整えるのも必要です。
自分でできることは見守る 個別に丁寧に知らせる
「自分で!」が増えるこの時期は、今まで手伝っていたことや知らせていたことを少しずつ控えて見守る姿勢を取りましょう。
「自分でパンツもズボンもはけたね。」「手の裏もピカピカだね」
できことを一つずつ認める言葉がけが子どもの自信と次に挑戦する意欲へ繋がっていきますよ。
「手伝ってって言われたらどうすればいい?」
子どもたちに甘えられたら、どうしていいかわからなくなりますよね。
私は手伝っていいと思います。
ゆき先生のエピソード 「先生、手伝って。」
「できない」が口癖のAくん。(2歳児)
「お手伝いしようか?」と聞くとうなづき、嬉しそうにしています。
「一緒にやるよ、せーの!」と言いつつ、ズボンを持っているだけのゆき。
「あれれ〜?自分でできちゃったね。」と褒めるとニヤニヤと笑顔を浮かべていました。
実は、子どもたちが「手伝って欲しい」と保育者の手をかりるのはほんのわずかな期間しかありません。いつの間にか手伝いを必要としなくなります。Aくんもそうでした。
2歳児はまだまだこの時期は甘えと自立を繰り返しているので、「本当はできるけど…一緒にやろっか。」で子どもの心を満たしてあげたいですね。
男の子は年少までに立ち便器も経験させる
男の子で排泄が自立して来たら、次は立ってすることも教えていきましょう。
始めはしがみつくように立つ子もいます。
- 足をもって、しっかり踏ん張る
- お腹を前に出す
中々トイレに行きたがらない子も立ってする便器はあこがれているようです。「お兄さんみたいね」と伝えると嬉しそうにしています。
ただ、保護者の中には「立っておしっこして欲しくない。」と思われる方もいるので…それとなく確認しておくといいですよ。
午睡中はパンツ?オムツ?
日中にパンツで過ごせるようになった子も午睡となると布団のこともあるので…ここは保護者と要相談です。
オムツで寝てもおねしょしない日が連続で何日も続いたら相談してみるといいですよ。
子どもがパンツにすることで、安心してお昼寝ができないこともあるので観察が必要です。そんな状態ならば、ぐっすり眠れるようオムツにするのも配慮の一つです。
もし、パンツで寝かせるのであればおねしょシーツを一枚敷くだけで布団の濡れ具合が変わります。保護者にお願いしてみましょう。
「一時間間隔だから…」と午睡中に子どもを起こすのはやめましょう。十分な休息が取れなくなってしまいますからね。
トレーニングの進め方や環境設定はどうしたらいい?
「いざ!トイレトレーニング!」と意気込んだところで失敗する可能性のほうが高いと思います。
何事にも準備が肝心。普段の保育が現れます。
ポイント
こんなことに気をつけて保育しています!
- 子どものおしっこのサインを把握しておく
- 友達のトイレをお手本にする
- トイレの雰囲気は明るく、子どもに親しみやすい
- 絵本や遊びで子どもの関心を高める
個々の排泄間隔やサインを保育士が把握しよう
成功体験を積むには保育士が子どもの排尿間隔とサインを知っておくことが大切です。
サインの例としては…
- またのあたりを触る
- 隅っこでもじもじしている
- 急に固まる
- トイレを指さす(行く)
- 「しーし」「いれ(トイレ)」などの言葉を使う
サインを出したら、近くに行って「しーし?トイレいこっか」と優しく言葉がけしましょう。もちろん、おしっこが便座で出た時は、一緒に喜びましょう
出なければ「教えてくれてありがとう。また教えてね。」と伝えればOKです。
オムツに出た後に教えてくれる子は?
「出たのがわかったんだね。」「気持ち悪いよね、すっきりしよ」
”出た感覚”や”汚れたオムツが気持ち悪い”ことがわかって教えてくれたことが大きな成長!すぐにトイレに行って、オムツを交換しましょう。
ポイント
大好きな先生に教えると褒めてくれる。それに気持ち悪いの交換して綺麗にしてくれるぞ。と子どもたちが思えるようにしていきましょうね。
オムツはおしっこが出たら、取り替えて「しーし、でたね」と声をかける
オムツを交換するときは、優しく声をかけていきましょう。
いつも同じ場所(トイレ)で変えていくことで、トイレに慣れるようにしていきたいですね。
友達のトイレをお手本にする
友達が便座に座っていたら、チャンス!
「○○くんしーししてるね。△ちゃんも座ってみる?」「(立ち便器している子を)お兄さんみたいだね」などの言葉がけをしてみましょう。
褒められたり、認められている子の自信にもつながります。
便座に座る前の子(1歳児低月齢)でもこの方法で「便座は座るところ。おしっこをするところ」ということを伝えることもでいます。
トイレの雰囲気は明るく、子どもに親しみやすい
ゆきの驚きエピソード いつもより大きい音が怖い
昨日までスムーズにトイレに行っていた子が急に嫌がりはじめました。
原因を探ると排水の音がいつもより大きい。
排水口を掃除して、音がなくなったことが分かるとまたトイレに行けるようになりました。
この話は、私の実体験。大人は「あれ?」くらいでしたが、その子にはとても不快だったようです。
トイレの環境が大切だと実感した出来事でした。
- 慣れたトイレでしか排泄できない
- 換気扇の音が大きい
- 照明が暗い
- 便座が汚れている
- 虫がよくでる
虫に一度遭遇しただけで、特定の便座が使えなくなったりする子もいます。
動物の壁面やキャラクターなどで親しみやすい雰囲気を作ったり、トイレの清潔度や照明などのチェックをして、子どもの不安を減らしていきましょう。
絵本や遊びで子どもの関心を高める
絵本や遊びの影響力って大きいですよね。
トイレトレーニングにもその力を活用しましょう。
トイレに関する絵本と読んでイメージを膨らませるのもOK。
1歳児から楽しめる絵本は…
仕掛けのある”ひとりでうんちできるかな”
みんな大好きノンタンシリーズ”おしっこしーし”
言葉が真似できたり、楽しめるような月齢になったら”おトイレさん”が面白くておすすめです。
「うさちゃん、しーしーできてすっきりしてたね」などのコメントはよいですが、過剰に主人公を褒めたり、励ましすぎるのは本人のプレッシャーになることもあるので気を付けましょう。
遊びの中で人形を使って、おしっこをさせる人形遊びもおすすめ。
ブロックや洗面器などをトイレに見立てて「うさちゃん、しーししたいって!」と話しかけたり、実際に「しーしー、でたね。すっきり~」と伝えていきましょう。
その中で「○○くんもトイレですっきりしてくる?」と聞くと自分からさーっとトイレに走っていく子もいます。出た時は、人形も交えて一緒に成功を喜びましょう!
イヤイヤ期の対処法
なんでもイヤイヤ、「自分で!」、こだわり…など自我などの芽生えでちょっと対応が難しくなる時期があります。
トイレトレーニングに時期にこのイヤイヤ期が重なると…連れていくのは至難の業。
- 遊びに夢中で断られる
- 「出ない」と言い張る
2歳児を担当したことがある保育士なら経験があると思います。
ゆきのエピソード 保育者が苦痛な時は子どもも苦痛
お母さんの焦り具合にこちらも焦り…時間で区切ってトイレに誘っていました。
遊んでいる子どもに声をかけると
「出ない」「行かない」
とごねる回数が増加。
誘うたびに嫌がられるので、トイレに誘うのが苦痛で仕方ありません。
先輩保育士に聞くと…
- トイレに誘う回数を減らす
- 遊びの途中で誘わない、節目で誘う
- 「出ない」と断れれたら、引き下がる
と3つのアドバイスをもらいました。
保育士が苦痛を感じている時点で子どもはもっと苦痛ですよね。
アドバイス通りにトイレに誘う回数を減らしました。
遊びに夢中の時は「これが終わったらいこうね」と声をかけるようにして、一緒に行ってくれら時はたっぷりと褒める。
繰り返していくと、すんなりと行ってくれる率があがりました。
自分の負担もぐっと減って子どもとゆとりをもって付き合えるようになりました。
まとめ
保育士が気にならないようなことでも子どもって気付くんですよね。
「えっ?そんなこと?」と思うようなことがきっかけだったりします。
環境もしっかり整えて、トレーニングを進めていきたいですね。
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