コラム

「保育士が不足でも保育所をつくりやすくする特例制度」について思うこと

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駒崎さんのツイートを見て「これは由々しき事態だ!」と思い、調べてみました。


制度の概要整理と現役保育士&保護者としての考え、意見を述べたいと思います。

認可外保育園は保育士が6割しかいなくても補助金が出ます

さっそく記事を読んでみました。保育所、保育士不足でも設置しやすく 待機児童対策で特例制度

政府は地域限定で規制を緩める国家戦略特区で、保育士が少なくても保育所をつくりやすくする特例を設ける。保育所の職員のうち保育士が6割以上いれば、認可保育所と同様の運営費の補助を受け取ることを認める。待機児童解消の壁となっている保育士不足を和らげる狙いだ。

 

「は?何言ってんだ?」と目玉が飛び出る思いで読んだところ。

どうも認可保育園ではなく政府が指定した地域の認可外保育園への適用。

「国家戦力特区で」となっているので、全国ではない。(今のところ)

「国家戦力特区」は、”世界で一番ビジネスをしやすい環境”を作ることを目的に、地域や分野を限定することで、大胆な規制・制度の緩和や税制面の優遇を行う規制改革制度です。

国家戦略特区とは?(首相官邸HP)

 

一応、認可外保育所へ移行する前の5年間(自治体の判断で期間の延長可)と期限をきり、職員の6割以上が有資格者であれば保育士数に応じ、国からの補助金を受けられる。

認可保育所へ移行する前の5年間の暫定的な対策と位置付ける。自治体の判断で期間の延長も可能とする。保育の担い手を増やして保育士を分散できれば、受け皿の増加にもつながる。

 

この制度案を国家戦略特区諮問会議という場で厚生労働省が「これ、予算取りたいます。制度にしてください。お願いしまーす。」とお話するそうです。

 

認可保育所に移行する前提での5年間ということですよね?

一応保育士の数に応じてということですよね?

ここからは現役保育士&保護者として意見を述べたいと思います。

この制度で起こる怖いことを考えてみた

認可外保育所でも認可園と同じ、若しくはそれ以上に良い保育を提供しようと日々努力されている場所もあります。

ただ、残念ながらそうじゃない施設も存在するってこと。

  • 安全対策が甘い
  • 保育がずさん
  • 人数配置が曖昧
  • 管理が徹底されてない
  • 保育士の労働環境最悪  などなど

受け皿を先に増やしてどうするの?」という話。保育の質担保できますか?

内閣府子ども・子育て本部が公表している平成 28 年教育・保育施設等における事故報告集計」の公表及び事故防止対策についてから抜粋した事故件数の概要がこちら。

 

単純に認可保育所とその他認可外保育施設を比べても認可外保育施設の方が死亡事件が多い。認可外保育施設と事業所内保育施設を足しても認可保育所の1/2にも満たないのに。

さらにこれ過去の統計です。

制度を成立させるにあたって、もちろん基準とかも決めるんだろうけど…新しい園を立てる団体が変なのだったらどうする?

 

神奈川県ではこんなニュースもあったようですけど、第2のケースになりませんか?

横浜市鶴見区の認可保育所「寺谷にこにこ保育園」で、園長と主任を含む保育士十一人が三月末で退職し、四月から運営の縮小を余儀なくされた。園長ら数人は、四月に区内で開園した認可保育所に再就職した。待機児童対策で保育所増設が急がれる中、保育士の引き抜きで既存園の運営が圧迫される、異例の事態を招いている。 (梅野光春) 「辞めたのは十五人のうち十一人。後任の採用が追いつかなかった」。同保育園の運営会社の渡辺研介社長(30)は苦渋の表情を浮かべる。園長ら11人 一挙に退職 保育士引き抜き 運営圧迫

 

政府が6割以上いればいいって認めてしまったら、ギリギリのラインまで保育補助だけで賄おうとする施設があってもおかしくないよね?

現場の保育士にかかる負担がどれだけ増えるのか想定してる?と思ってしまいます。

 

認可保育所で保育士だけで見ていても正直キツイと思うのですが、今の人数体制と仕事量。

 

大人がいれば保育できると思ってる?

やっぱり政府も「保育士は子どもと遊んでいるだけ。」とか思ってそう…。

潜在保育士が増える&保育士の成り手が減るんじゃない?

政府がこんな対応するからいつまでも「保育士は子どもと遊んでいるだけ。」なんて思ってる人いなくならないんじゃないの?

 

  • 子どもの命預かって、発達考えて計画立てて、環境整えるんですが。
  • 子どもたちにいい保育したくて、保護者に安心してもらいたくて自己研鑽しまくってるんですが。
  • 自分の子どもの行事出れないこともあるけど、家族に協力してもらって働いてますが。

 

認められないって悲しいよね。

教員から園長になった人が退職する保育士に向かって「保育士はその辺に転がってる。」って言っちゃうくらいだから。

 

「もう保育士したくない。」っていう人の理由が統計で出てるんだから、それを対策しようよ。

「保育士になりたい」って学んだ人が「働きたい、続けたい。」って職場作りが必要でしょ?

現場で働く保育士がキラキラしてたら、「私も目指そう!」って人も増えるよね?

 

我が家の子どもが「自分の子どもが保育士になりたい!!」って言ってくれて嬉しいけど、「やめとけ。」ってたまに言いたくなる。子どもに胸を張って勧められる職業であってほしいと思う。

保護者は安心して預けられますか?

待機児童って深刻な問題だけど、そんなところに保護者預けたいって思うのかな?

自分の子どもの命かかってますけど。

自分の子が待機児童になれば死活問題だと思います。藁にもすがる思いで、認可外でも入園させるでしょうね。

でも、保護者はその施設に実は資格持ってない人もいるなんて知らないよね?きっと。

 

私なら絶対嫌ですが…。

安心して子どもを預けて復職できるような待機児童対策してもらっていいですかね?

こんなことに予算使ってくれたらいいのに!!

この制度が全てデメリットばかりという訳でもないと思います。

中にはきちんと運営している認可外保育所もあって、そういう園が補助金のおかげで認可保育所になればメリットのような気もする。補助金でそこで働く保育士の環境と給与よくなればなおよしなんですけど。

 

今、働いている保育士にも提供してほしいけどその財源。ないがしろにしないで。

もっと現場の声を聞いてよ。

 

受け皿増やしたら、自動で保育士増えるわけじゃないんです。

もっと違うことに回してくれ、その予算。

  • 保育補助に資格を取らせるための助成金(個人でも施設でもOK)
  • 保育士の基本給UP(新卒、既卒含む)
  • 保育士歴が給与に加算されるようなシステム
  • 既存の園の整備や増設
  • 保育学生への援助(奨学金とか)
  • 保育士の労働環境改善
  • 保育士の研修への支援
  • 保育士の社会的地位向上  などなど

まとめ

今回の制度は色々な視点から考えることができるんですが、現場の声は政府に届いてませんよね。

デメリットだらけの制度を作るつもりはないと思うので、何か考えはあるんでしょうか。

でも、受け皿を増やせばなんとかなる。と思っているあたり…残念な感じ。

 

こういったニュースも保育士として知っておくといいと思ったのと、自分の考えを整理してみました。

あなたはこの制度の導入についてどう思いますか?

 

 

 

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