「私たちの園では、こんな事故起こるはずないと思っていました。」
保育中に起こった痛ましい事故などで子どもや保護者に大きな傷を残してしまう園関係者や保護者は事故が起こるまでそう思っているそうです。
10年以上、福祉の現場での事故・事件やトラブル対応やアドバイザーを行ってきた著者 脇貴志さんが事故・事件が起こるブラック保育園の共通点や見抜き方などについて書いた一冊です。
保育園はブラックボックス
著者は“保育園は例えるなら、中身をほとんどうかがうことができない「ブラックボックス」と言っています。
- 保護者が中身(保育)をほとんど知ることができない
- 子どもはうまく中身(保育)で起こったことを伝えられない
行政や保育園と契約して入園することができれば保育園には登園できる(取り扱える)という点でブラックボックスを言われると納得できますね。
”保育園がブラックボックスであるがゆえに重大な事故や死亡事故など最悪の事態を未然に防ぐことができない”と言われると保育士としては複雑な気分ですが、第三者の目が入りにくい保育園では起こりうることだとも思います。企業でも風通しの悪いところでは事故や事件が起こりやすいですしね。
保育中の死亡事故は年間10件以上
厚生労働省が保育施設で起こった事故報告を集計しています。それによると平成26年で事故の報告件数は118件あり、死亡の報告は17件(うち8名が0歳)です。平成16年から今日まで死亡事故件数が0件だった年はありません。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000072858.html
日々、子どもの安全を第一に保育していますが、統計の数字や紹介されている死亡事故事例を目にして改めて気が引きしまる思いがしました。
死亡事故の98%が3つの原因に集中していると分析されています。
睡眠時の事故…突然死
食事中の事故…誤嚥による窒息
水遊び中の事故…溺死
これらをしている時間帯は、保育士のちょっとした心の隙をついてくる「魔の時間」ともいえるほど、死亡事故や重大事故が集中して起こっています。
著者は、
- 睡眠中は保育士の観察不足
- 食事中は保育士の気のゆるみ(特におやつ)
- 水遊びは新人保育士の慣れや保育士のちょっとした脇見
の3点を指摘しています。
ブラック保育園の共通点は2つ
ブラック保育園を分析していくと共通点が2つあってそうです。
ブラック保育園の共通点は保育士の労働環境も劣悪な環境ということですね。法律上の適正な配置でクラスを運営していても正直しんどさを感じる時があります。保育士が不足している園では常に保育士が日々の業務に疲れ果てている。それだけで子どもが危険にさらされる可能性は増えます。
保育士の人間関係が円滑でなければチームワークの取りようもありません。そういった場合、同じ過ちを繰り返してしまうことが多く。再発防止にはたどり着けないでしょう。特に園長・主任などが怖くて何も言えないような園では担任保育士による事故の隠蔽が起こったとしても不思議ではありません。
日々の保育を行うことに手いっぱいでリスクマネジメントを適正に行えない園はきっとたくさんあるでしょう。子どもの安全を守るためにはリスクマネジメントは重要なので保育士不足は理由にはなりませんけどね。
保護者がブラック保育園を見極める
保護者向けに書かれている書籍なので、子どもを保育園に預けるにあたって知っておきたいこと、見極めるポイントが盛り込まれています。
- 「新保育制度&リスク管理」の基礎知識
- 「ブラック保育士・園長」を見破るチェックポイント
- 事故を起こしやすい「施設設備・周辺環境」の共通点
- 保護者としての心構え
について書かれています。子どもを持つ親として参考になった部分もありますし、保育士として『ブラック保育士だと思われないように気を付けよう』と自分の仕事姿を振り返るきっかけにもなりました。
株式会社アイギスと著者脇貴志とは?
読み終わった後に、気になったので著者について調べてみました。
株式会社アイギスは、事件・事故、トラブルなどの危機対応サービスや危機管理セミナー、保育の現場で働く保育士や幼稚園教諭の方へ社会人学校として人材育成を行っています。2009年から10年以上も保育園の事件や事故などに対応してきた実績を持っている会社です。
著者の脇貴志さんは株式会社アイギスの代表取締役社長です。今回の本以外にも保育園の危機管理を出版されています。
まとめ
保育園の質、待機児童、保育園での事件・事故問題などの保育園をめぐる問題がいまだ前進しない理由は「喉元過ぎれば熱さを忘れる」現象だと言われています。
先日、フローレンスの代表を務める駒崎弘樹さんのブログでも書かれていました。
子育て世代である期間は短く、終わってしまえば過去のこと…ではいつまでも変わりません。
私たち保育士はよい保育をするために自分たちの状態をしっかり把握しておく必要がありますし、子育て世代に関わる職種として声をあげていかなければいけませんね。
自分が事故・事件の当事者にならないよう保育を行いつつ、リスクマネジメントの大切さを伝えられる保育士になっていこうと思います。
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